タテモノ日記.019
今年3回目の“タテモノ日記”の更新です。
今回は、是非東京でみてもらいたい教会の第二弾、“カトリック目黒教会の「聖アンセルモ聖堂」”です。以前紹介した、東京カテドラルよりも規模は小さく、一般の人にはあまり知られていないかもしれませんが、目黒駅から徒歩3分くらいで行けるとても利便性のよい教会です。
設計はタテモノ日記では初登場の、アントニン・レーモンド氏です。チェコ出身で、日本では400近い作品を残しているので、名前を聞いた方も多いのではないでしょうか?帝国ホテルの建設の時に来日して、それから日本に留まり、日本人の建築家に大きな影響を与えたとのことです。
話がそれますが、2017年に”聖アンセルモ聖堂”は、東京都選定歴史的建造物に認定されたそうです。東京都選定歴史的建造物とは、“歴史的な価値を有する建造物のうち、景観上重要なものとして、東京都景観条例に基づき、知事が選定したもの”だそうです。認定されて、保存することも国や県に予算がつくといいなといつも思います。
さて、建物に戻りましょう。聖アンセルモ聖堂は、1955年に竣工した、鉄筋コンクリート構造の地上2階建の建物です。外観は朱色の色がついていますが、内部は打放しで、外観とはまったく異なる印象です。礼拝堂に入ると、正面に祭壇があり、両サイドの壁に9本の折板型のスリットが切ってあります。そこから、西日が時間の経過と共に礼拝堂に光を落とし、とてもきれいです。壁からの光に見とれて忘れてしまいがちなのですが、実は礼拝堂の天井も、折板形状の打ち放しの造形になっており、とてもきれいです。祭壇と壁のスリットに見とれて、着席して、ふと上を見上げると、驚きます。
天井高も高く、ダイナミックな空間ですが、礼拝堂どくとくの静寂があり、カトリック信者の方でなくても、自由に入ることができますので、桜は散ってしまったかもしれませんが、是非一度体感してもらいたい空間です。